自動車大手のホンダと日産自動車が経営統合へ向けた協議を始めることで調整に入ったことが18日、わかった。持ち株会社を設立し、両社が傘下に入る形が有力視されている。三菱自動車が合流することも検討する。実現すれば販売台数が800万台を超える世界有数のグループが誕生する。
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関係者によると、経営統合に向けた協議入りについて社内の枢要な会議体に諮っているという。今後、統合協議が始まれば、持ち株会社の統合比率などについて両社で話し合うとみられる。
両社は今年3月からEVの開発で協業を進めていくと発表。車載電池をはじめとする中核部品の共通化や共同調達など、幅広い分野で検討を進めていくとした。また、8月には両社の協業に三菱自が合流することも明らかにしていた。
両社の動きの背景には、自動車業界で100年に1度と言われる変革期にあるためだ。米テスラや中国BYDなど新興の電気自動車(EV)メーカーが台頭する中、ガソリン車やハイブリッド車(HV)で優位にある日本勢は今後厳しい戦いを迫られる。
両社には足元で向かい風が吹いている。EVが伸びる中国市場で販売台数を大きく落として工場を閉鎖しているほか、ホンダは人員削減にも踏み切った。日産は中国だけでなく、米国市場でも振るわず、業績が悪化。今年の9月中間決算は9割超の減益となり、9千人のリストラや生産能力の削減を発表していた。
ホンダの三部敏宏社長は今年8月の記者会見で、「新会社設立というのも一つの可能性としては捉えている」と話していた。日産の内田誠社長も「将来的な競争力を担保できるような形になるということであれば、様々なことは検討していく」としていた。